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インディーズバンドを好きになるということ
いま、インディーズバンドを聴くということ

それはメンヘラになるということ
不細工な彼を崇拝すること
ふっとあのMCを思い出すということ
嗚咽を漏らすこと

サビで手をあげること

インディーズバンドを好きになるということ
いま、インディーズバンドを追うということ

それはロングスカート
それはドリンクチケット
それは塩顔男子という逃げ
それはサブカルフィルター

すべてのライブに足を運ぶお金を稼ぐこと
そして
垣間見えた彼の本性に目をつぶること

インディーズバンドを好きになるということ
いま、インディーズバンドに熱をあげるということ

最前列に居座るということ
毎度高価な差し入れをするということ
薬指の指輪に気付かないふりをすること
寒空の下彼が出て来るのを待ち続けること


インディーズバンドを好きになるということ
インディーズバンドに依存するということ

彼の気を引くこと
手首を切ること
彼と繋がるSNSにアップすること
彼が見てくれていると信じられること

彼の周りに嫉妬すること

あなたは彼の代わり
セックスで悲しみを忘れる